時が止まる・場が凍るって本当にあるんだなーと思った瞬間だった。
「親戚美ちゃん知ってると思う?」
友人の質問に私は思いっ切り首を振った。
親戚美は見かけはCanCam系ナイスバディのギャルだけど、中身は倫理観強い優等生タイプで不倫なんかありえない。
第一何が哀しくてまだ17で不倫しなきゃならないんだと。
それに親戚美は将来結婚したいなとか言っていたし。
友人はだよね、と蒼ざめつつも説明してくれた。
友人の父は某大企業の地方工場の偉い人なんだけど、先日写メの糞男とそっくりのサラリーマンが挨拶に来た。
支店で研修を受け3年後辺りには本社に戻ると言うことだった。
「間違いなく奥さんいるよ。だって子供がまだ小さいのに離れて寂しいとか言っていたもん」
ちょ、待て。何それ。子供までいる!?
今なら無難に親戚美に新しい好みの男を紹介するなり、それとなく悪口を拭き込んで別れさせるなり、親戚美を傷付けずに納める方法もあったんだろうけど、当時は
何せ高校生なので他に方法が思いつかなかった。
私と友人は放課後に話し合い、確認を取った上でまずは親戚美に、次に友人父に相談をしよう!と言うことになった。
最初に親戚美を私宅に呼び出し友人の家にきた男と糞男が同一人物かどうかを確認。
名前、身長、体重、住所、バッチリ同じだった。
「どうしたのなんなの?」
と親戚美は無邪気に聞いて来る。
私達は覚悟を決めて親戚美に事実を話した。
親戚美は泣きも暴れもしなかった。
一言「嘘・・・・・・・・・」って言ったきり蒼ざめたまま何も話さない。
友人が、
「うちのお父さんに相談した方がいいかな?それともこのままフェードアウトする?」
と聞いたら
「フェードアウトする・・・・」
と答えた。私達は親戚美の意志を尊重することにした。