前の方でさらにひときわデカイ犬の吠える声が。
見てみると、近所に住むジイサンが子供ほどはあろうかというかなりデカイ犬を連れていて、その犬がオバサンに非常に吠えていた。
驚いたオバサンは足を踏み外し田んぼに背中からダイブ、泥だらけ、持ってた犬も当然泥だらけ、むしろぬかるみに吹っ飛んでいった。
犬は泥にまみれてさらにはるかに大きい大型犬を目の前にしてパニック、悲鳴をあげるオバサンに対しジイサンが
「あらあらごめんなさいね、でも犬のやったことだし」とオバサンの口調を真似て帰っていった。
後に残ったのは泣き喚く全身泥だらけの犬と何故か結構いい服(早朝の散歩に来るような服じゃない)を泥だらけにしたオバサン。
自転車に乗りつつ横を通ったとき、俺も
「まあ犬のやったことだし」と言って放置してやった。
あとから親に聞いた話、あのオバサンの犬は近所では有名な誰彼構わず吠えていたらしい。
それで、あのジイサンは孫娘が吠えられて泣いて帰ってきたのを知って、復讐してやろうと愛犬と共にあそこで張っていたらしい。
ジイサンは人様を田んぼに突き落としたということから娘夫婦や近所からこってり絞られたらしいが、オバサンのことを心配する人は誰一人としていなかったという。