返事に詰まって
「えぇ・・・まあ・・・」とその場は濁しました。
義兄は遠方に一人で住んでおり、両親の土地財産の管理運用を一手に引き受け、詳しくは知りませんが法律関係の仕事で活躍されていると伺ってました。
直接会って話す機会は今までもそう多くはなかったですが、すごくしっかりした印象がありました。
義兄は腑に落ちない様子で
「一人じゃ大変でしょうに・・・」と更に問い詰めるので
「まあ、いつもの事ですから」とうっかり言ってしまった。
途端、義兄の目つきが鋭くなり、
「どういう事?」と詰問され、とうとう話してしまいました。
最初は気を悪くするかなと思ってましたが、話してるうちに助けて欲しいと言う気持ちが前に出てました。
全てを話し終えると
「・・・分かりました。本当に面目ない」と私に深々と頭を下げ、
「正式な謝罪は後ほど。後は俺に任せて下さい」と早々に居間に突撃。
義両親他が騒いでる所に荒々しく乗り込み、跳ね上がるかという勢いでテーブルを叩き、
「お袋!私さんをあんな目に合わすとはどういう了見だ!?」
静まり返る居間に義兄の怒声がまだまだ響きます。
「全部聞いたぞ!何の恨みがあって私さんに辛く当たる!?
まさか、嫁いできた人は女中か召使とでも思ってんじゃねえだろうな!?」
我に返った義母は
「いやそれは」と弁解しようとするも
「言い訳が通用する段階じゃねえだろうが!自分がどんだけ醜くみっともない真似してたのか分かってんのか?
親父!この二人が不甲斐無いのはまだしも、なんで親父まで黙ってんだよ!
おい弟!てめえ、自分の嫁さん一人満足に守れないでいっぱしに結婚なんかしてんじゃねーぞ!?
お前ら何か勘違いしてねえか?私さんを何だと思ってんだ?こんな連中が家族で俺は恥ずかしいよ!」
3人とも萎縮してしまい、他の客人も呆然。義兄は会の解散を宣言し、客人にはその場でお帰り願ってました。
義兄は私に土下座して
「本当に申し訳ない!あの日、貴方を家族として向かい入れたはずなのに、こんな事になっているとは」
と頭を床に押し付けるので、私は泣きながらやめてください、やめてくださいと言う他ありませんでした。
「有難うございます。義兄さんの気持ちで充分です」と何とか義兄を起こすと、
「俺の気持ち程度で釣り合いが取れる筈がありません。金銭も含めた正式な謝罪をさせて下さい」との事。
ここで義母が
「ちょ、お金ってそれ・・・」と言おうとするも
「まだ恥ずかしい事をほざくつもりか!?全然反省してない様子だな。俺は一銭も手をつけちゃいないが、それでも二人の生活の大部分は俺次第というのを忘れるな」
義母は何も言えずまた俯き、私もこの時の義兄の迫力というか、鬼気迫るものに圧倒されました。