忘年会で毛ガニが一人1杯ずつついた。
皆が黙々と食べてる中、経理の吉田さん(仮名)はチマチマと身を剥いては器に入れていた。
ぜんぶ剥いてからゆっくりと食べるつもりらしい。
普段からチマチマした人だけど、こういうところも同じだなぁと思いながら俺は自分のカニを食べていた。
吉田さん(仮名)がカニを剥いている様子を、忘年会の最初から全開で日本酒の徳利2本一気のみとかしてすでに出来上がっている営業の北林(仮名)がじっと見ていた。
こいつはいつも宴席で何かをやらかす奴で、自分じゃ面白いと思ってやることがぜんぶ滑るタイプ。
やがて吉田さん(仮名)がカニを剥き終わり、ビールをチビチビと飲みながらカニを食べようとしたとき、北林(仮名)が吉田さんのところに寄ってきて
「いただきまーす!」
とそのカニを一気食いしてしまった。
周囲の空気が固まってるのを察した北林が今度はカニを口の中から器に出して
「すみません、やっぱり返します。 俺カニアレルギーだった。ギャハハハ」
と馬鹿みたいに大笑いした。
そしたら…