うちは、とうちゃんが幼稚園の頃に病気で他界。
とうちゃんは他の兄弟も亡くなってて、結果的に1人っ子で、とうちゃんの親(俺からは祖父母)もすでに亡く、祖父母がとうちゃんに残した田舎の広い家をもて余したかあちゃんは、働きにでなければいけないこともあって、家と田圃を処分し俺を連れて、同じ地域だけど交通の便がいいとこに引っ越した。
田舎だから、他所の家の離れみたいなちっこい家でかぁちゃんと二人で住んでた。
最初はすごく寂しい暮らしだったけど、近所に何かと気にかけてくれる家があって、野菜とか米をただ同然で分けてくれたり、鍵っ子の俺を不憫がって可愛がってくれて、次第に自分の家みたいに自然に出入りできる位になって行った。
かぁちゃんもすぐに打ち解けて、困ったことがあれば相談してたし、そこの家の親戚が来てる時も、俺のことを遠縁に当たる何とかの何とかって話をその家のおじさんおばさんでしてたから、子供心にやっぱり親戚なんだ、だからこんなに良くしてくれるんだなぁー、と納得し、又親戚であることが嬉しくて益々なついてた。
そこの家のお兄ちゃんお姉ちゃんも、歳が離れた俺をめっちゃ可愛がってくれて兄弟同然の扱いで、御飯もしょっちゅうご馳走になってて、おじちゃんの
「喰え喰え、喰わねば大きいなれんぞ!」の掛け声のもと、常時三杯は遠慮なくかっくらってますた。
そんな暮らしをごく当たり前に過ごすうちに、俺も高校生になり部活だ、友達だと外で過ごす時間が増えていき、遊びにいくのも2~3ヶ月にいっぺん位になっていた。
でも、かあちゃんは相変わらず親しくしてたし、俺的にはいつでも行ける親戚の家である訳で、行かないことも気に止めてなかったし、むこうもそうだったと思う。
そんなある日、就職して都会に出てた兄ちゃんと姉ちゃんが帰って来てるから、庭でバーベキューするからあんたもきんさい、とおばさんから電話がありその頃仲が良かった坂本君(仮名)と行って、たらふく肉をご馳になって帰って来た。
家に帰ってから、盆や正月でもないのに、なんで兄ちゃんや姉ちゃん帰って来てたん?
と不思議に思い、かあちゃ聞いたところ、
「ああ、砂糖さん(仮名)ちの本家の法要らしいよ、五十回忌の人がおるからお位牌まとめるんよ」
俺「ふーん、うちは行かんでええの?」
かぁちゃん「いくら親しいしてもらってても、他人の本家の法要には行けんわね。お供えとご香料は送ったけどね」
俺「へ?他人?…まじ?( ; ゜Д゜)ええぇぇー?」
かぁちゃんも「( ; ゜Д゜)え?……あんた、私ら他人じゃよ。名字おんなじだけど…」
俺は、親戚だと信じてたからこそ甘えきってたし、御飯も丼飯三杯も食った
小学生の時にいじめにあって不登校の時も家に入り浸り、昼寝をしおじさんの鶴の一声で転校し、安心し今に至ってるのに、他人てどゆこと?…
俺は恥ずかしさのあまりにパニックになり、かあちゃんを罵り、かあちゃんの図々しさを責め立て号泣させた。
その後数ヵ月、家の中は暗かった。
おじさんの家も前を通るのさえ恥ずかしく、遠回りして避けていた。
すると…