彼女は乗り物酔いしやすい体質だったのに
「あっちやこっち連れていけ」
と言われ、そのくせ酔い止めを持ってきたことは一度もなく、ほんの10kmほど走っては休憩出来る場所を探したり、気分を悪くしては八つ当たりされたりした記憶が蘇り、
「まだ決まったわけじゃないなら、こっちから振っても構わないよな」
と一気に冷めてしまった。
そこで、向こうの親に事情を話して婚約取りやめ。
彼女から
「そんな積りで言ったんじゃない」
ときたけど、冷めた心は戻らんよ。
ちなみにお見合いだけど、自分も年齢的にリミット寸前だったから、乗り物酔いは我慢しようと思っていた。
しかし、オレが彼女にベタ惚れで結婚間違いなしと安心したのか、あれだけ身勝手な条件を突き付けて来るとは思わなかった。