家の中から何かを叩くような大きな音が聞こえる。
弟の部屋方向なので恐る恐る行ってみると、母の怒鳴り声と、獣のような叫び声が聞こえてきて、ドアを開けると鬼のような形相をした母が、四つん這いでベッドの柱の鎖に首輪で繋がれてたなにかを長い定規で叩いていた。
よく見ると、それは見る影もなく痩せ衰え傷だらけで髪が伸び放題という、幽霊のような弟だった。
あまりの光景に絶句してると、母は私の方を向いていつもの優しい顔でニコニコ話しだしたけど怖くなって突き飛ばして走って逃げた。
気がつくと学校の保健室で寝てて、迎えに来た母を見て錯乱した私が錯乱して話したことから全てが露見した。
父と母は別居の後離婚。
離婚が決まるまで母と住んでたけど、
「父と結婚したのはおまえを育てるため」
「私にはおまえしかいない」
「弟におまえを取られたくなかった」
「●ぬまで一緒にいよう」
などと気持ち悪いことを言う。
そして、いかに弟を虐待したかを楽しそうに語る。
弟への虐待は再婚直後から始まってて、部屋にひきこもったのも実際は母が監禁していた。
怖くなって家を飛び出して夜の街をウロウロして補導されて、警察で父に連絡してもらって
「母と暮らしたくない」と泣いて訴えて父に引き取られ、離婚成立後は父と養子縁組して弟と三人で暮らすことになった。
今では弟も幸せに暮らしています。