40歳前とおぼしき、身なりの綺麗な女性だった。
道にでも迷ったかと思っていると、その女性は花柄の上等そうな封筒を差し出した。
そして
「あなたと同じ学校の山崎(女子生徒)の母です。クラスが違うから知らないかもしれないけどね。
実は娘が、可愛くて成績の良いあなたとお友達になりたいと言ってお手紙を書いたんだけど、恥ずかしくて自分じゃ渡せないからお母さんが渡してって頼まれてね。
突然ごめんなさいね。一生懸命に書いたから、絶対に読んでね」
と説明を受けた。
今思えば怪しさしかないのだが、
私のことを”可愛くて成績が良い”などと思い、密かに憧れてくれている女子がいる、という意外性と嬉しさに浮かれて、
何も疑わずその便箋を受け取ると、帰宅するまで待てずに近所の公園で開封して読み始めた。
しかし…