父は種無し。
しかし結婚一年目にして母が妊娠。
父「…」
母「相性が良かったのね」
「出来無くも無いけど、出来無いかもしれない」
婚約中、自然妊娠は極めて難しいという診断結果を若干オブラートに包んでみた結果、
「出来なくてもいいよ。二人で仲良くやっていこう」
と大らかに笑ってくれた女である。
検査が間違っていたのかもしれないと、とりあえず別の病院に行ってみた。
結果変わらず。
父は相当葛藤したらしい。
母が浮気なんてするはずがない!
もし仮に話せない事情があるなら、暴くことは母を悲しませるだけではないか。
というか別れたくない。絶対に別れたくないでござる!
生まれてみれば母に似て可愛いし、どうせ子どもなんて出来ないんだ。
仮に自分の子じゃなくても養子をとったと思えばいい!
いやいや実際奇跡が起きたのかも、その場合別人の子でもいいなんて、家族にとってなんてひどい言いぐさなんだ等々
結局、ある日プッツンとして、私は父の子として脳内決着。
そしてそんなことなど忘れるようにして過ごした15年後
母「また出来ちゃった。今度は男の子よ」
父「…」
もう一度病院に行く。
進歩したっぽい医療技術でも、やはり無理っぽいといわれる。
子供が二人いると言うと医者に言葉を濁される。
父「……俺、自然妊娠ほぼ不可能らしい」
母「奇跡ってあるのね」
父「…」
ここで父は15年前の行動を繰り返そうとしたが、この頃その歳月によって私の生まれた当時はなかったらしいDNA鑑定なるものが誕生していた。
で弟の唾液をこっそり採取→鑑定。
結果を見て父は泣きじゃくった…