Aの周りに人だかりがしていて、真ん中でAが号泣しながらもだえ苦しんでいた。
それがもう、人格が崩壊したという形容が相応しいくらいの、絶望にあふれた泣き方だった。
周りの人に話を聞くと、Aはひたすら、
「私は汚らわしい女なんです」
と言っていたそう。
結局その日、Aは救急車で運ばれていった。
Aは精神病院に入院し、数ヶ月たったころ、お見舞いに行った。
以前の優しくて聖女のようなAの面影は消え、あの夜のおばさんのようにやつれていた。
おかしくなったきっかけはやはりあの日の晩の出来事で、
穢れたおばさんに会う→自分の行いが悪いから→私の反論にあう→価値観が崩壊→自分は差別者だった!→人格崩壊
と至ったらしい。
Aは何年も入院しいまも精神科に入院して、以前の面影はもうなくなっていて、廃人の様になっている。
あの日の晩に立ち会ったのは私だけで、きっかけはおばさんだとしても壊したのは私というのが、最大の修羅場。
いまだに何をしてしまったのかの自覚がなくて怖い。