どこでもドアが欲しかった

旦那の理由で不妊。周囲に責められるも旦那を庇い続けた。しかし…

time 2016/11/24

旦那の理由で不妊。周囲に責められるも旦那を庇い続けた。しかし…

旦那がとても若くて可愛らしい女性を連れてきた。
彼女も不妊で子供を産めない体らしい。
「僕を理解してくれるのは彼女だけ」
と彼女の華奢な手を包み込む旦那はとても幸せそうだった。

私と行った旅行先で彼女と出会ったらしい。

不妊がわかってから塞ぎこんでいた旦那を私はよく外に連れ出していた。
旅行、ピクニック、ハイキング、動物園、美術館、博物館…
子供が居なくても楽しいことは沢山あるんだよってことを知ってほしかったから。
辛い記憶を楽しい思い出に塗り替えてあげたかった。

徐々に笑顔になる旦那を見てると私も幸せだった。
周りからどれだけ嫌みを言われようと頑張れた。

義両親は息子の浮気と離婚に大喜びしていた。
「若い娘さんなら孫の顔が見れるわ」と私の前ではしゃいでいた。
義両親にとって私は加害者だったんだと思う。
「女のくせに子供を産めない」
「子供を産めないくせに身を引かない」
「大事な息子を自分の人生に巻き込んで不幸にしようとしている」
そんな風に言われてきたから。

旦那は旦那と彼女が不妊だということを一言も言わなかった。

費やしてきた時間と受けた傷に比べれば、
浮気の慰謝料なんて本当にはした金だと思う。

死のうなんてはっきり思ったわけじゃないけど、
ふらふらと山を歩いていたら声をかけられた。
私より少しだけ年上の登山者達はとても心配そうにしていた。
私がまるでスーパーにでも行くような軽装で気になったらしい。
ただすれ違っただけなのに、わざわざ戻って話しかけにきてくれた。

「その靴でここまで登るの大変だったでしょ」
「ちょっとここに座りなさいよ」
「冷えてるじゃないの」
「これ飲みなさい」

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