そこには中学の時に盗まれたエアマックスがあった。
今では想像もできないと思うが昔、このエアマックスという
バスケットシューズが大流行していた。
この靴を履いていると不良に奪い取られるエアマックス狩りという
ものが社会問題にもなったほどだ。
俺が盗まれたのも普通に学校に履いてきたため下校時に無くなって
いた。
そしてAもA弟も盗まれた事も実際に履いていた現物を見た事もあった。
まさか犯人はAだったのか、と暗い気持ちになったが
「まだ10足ほどエアマックスがある、あと兄貴が買ったとは思えない
ものが沢山蔵の中にある」
といわれさらに気分が沈んだ。
長い間付き合ってきたが人の物を盗むような奴でもないし物に執着
するような奴でもなかった。
Aの弟と話し合ったが蔵にあったものはそのままにすることにした。
Aの嫁さんも昔からの知り合いなので、今更盗んだものを返そうとしても
最悪嫁さんや子供に迷惑がかかるんじゃないか、という理由からだ。
正直本当にこれでよかったのか今でも分からない。