本屋さんで立ち読みしとったら、俺のすぐ右手のところにヨチヨチ歩きの女の子がいた。
口の周りヨダレだらけで手もびたびた。
その手で平積みの本をべたべた触ってて、こりゃマズイんじゃねーか?と回りを見たが、どれが母親かわからない。
んんん!と何度も咳払いして何処かにいる母親がこっち見ないかなーとか思ってたが効果なし。
そのうち平積みの本の上にうんしょ、うんしょ・・・と登りだした。
と思ったらあっと言う間に登ってもた。
積み上げた本ってツルツル滑って崩れたりするじゃんか。
しかもオマケとか挟んでるような本ばかりの所だから余計に崩れそうでヒヤヒヤした。
危ないなーと思いながら見てたら、本の上で生まれたての仔馬みたいに立ち上がろうとして
「危ないから降りようね」
って言って両手を出したら振り払われた。
その時近くにいた若い女の人が俺のこと、きもいって目で見てたので、そういや俺はこういう紳士的なことをしてはいけない人種だったことを思い出し、別の本探しに行こうと移動しかけたところで、平積みの方が崩れかけて女の子が落ちそうになった。
反射的に抱きとめたらギャン泣きしだした。
母親が飛んできて俺の手から娘を奪い取り、キモウザ~って目で俺をみた。
チラッとさっきの女の人を(絶対見てたはず)見たら目があったけど何も言ってくれなかった。
結局何も買わずに本屋さんを出たんだが、俺の一張羅のユニクロのTシャツが、幼児のヨダレでベトベトになってたのに気が付いた。
ああ、俺ってこのヨダレよりキモイんだなーと思ったら凹んだ。
家に帰って飼い犬の柴を相手に今日の出来事を愚痴っていたら…