どこでもドアが欲しかった

彼と別れることに。すると彼『少し話したいから、車乗って?』私「少しだけなら…」 → トンデモナイことに…

time 2016/11/28

彼と別れることに。すると彼『少し話したいから、車乗って?』私「少しだけなら…」 → トンデモナイことに…

付き合っていたころの思い出話→別れて辛い→俺の何がいけなかったんだ
…と、徐々に感情的になる彼氏。
これはヤバイな、と思い、そろそろ家に戻るね、とドアに手をかけた瞬間、エンジンをかけ、車を猛発進させる彼氏。

やられた、と思う間もなく、猛スピードで家から遠ざかる車。
やめて、とめて、と懇願しても、真っ直ぐ前だけを見て車を走らせる彼氏。
私のほうをちらりとも見ない。
信号も無視してぶっちぎり、車を降りるタイミングも得られないまま、車はどんどん山道へ。
道はどんどん細くなり、街灯もない。
さらに最悪なことに外は大雨。
とうとう、これ以上進めないほどの細い山道に辿りついた。
その脇にあった木材庫のような場所に車を停める彼氏。
エンジンを切ってライトを消すと、何も見えないくらい真っ暗。

「お願い、落ち着いて。
家に帰して」
努めて冷静に諭す私。
暗がりの中、無言で私を見つめる彼氏。
肩を揺すっても、言葉をかけても無反応。
完全に目がイってて、背筋が凍った。

「ほんとにやめて。
家に帰りたい」
怖さのあまり、半分泣き叫ぶように言うと、「うるさい!!」と怒鳴りつけられ、覆いかぶさるように助手席のシートを倒された。
「このまま俺の言うこと聞くか、ここから一人で歩いて帰るか、選べや、あァ?」
なじるように言われて、恐怖と悔しさで涙が出た。
このまま我慢すれば無事に帰してもらえるのか、とも思ったけど、言いなりになるのは絶対嫌だった。
無我夢中で彼氏を押しのけ、車の外へ出て、全力疾走で逃げた。
息を切らして山道を下っていると、後ろから彼氏の車が。
追い抜きざまに、「勝手にしろや!死ね、ブサイク!」と怒鳴られた。
悔しいし怖いし、もう何がなんだかわからなくて、ぼろぼろ泣きながら、夜の山道を走って下った。

家からふらっと出てきたままの格好だから、部屋着にスッピン、コンタクトも入れてないから周りも見えない。
足元はつっかけサンダルが脱げて裸足、お財布も携帯も持ってない。
おまけに大雨。
ぐしょぐしょになりながら、喉から血の味がするほど走り続けて、やっとコンビニに辿りついた。

裸足で全身ビショ濡れ、涙鼻水ボロボロの私に店員さんびっくり。
警察を呼ぼうとする店員さんを引き留め、電話を借りて泣きながら家に電話をかけた。
事情を説明しようとするも、ここがどこかわからないから、場所の説明が上手くできない。
気が動転してるし、しゃくり上げてるしで、話も伝わらない。
店員さんが電話を代わってくれて、とにかく来てくれ、と場所の説明をしてくれた。
両親が揃って車で迎えに来てくれて、なんとか家に辿りついた。

このあたりの記憶と時間の感覚はかなり曖昧。
ただ怖かったことしか頭に残ってない。
でも、コンビニの事務所で、椅子がわりのビールケースに座って飲んだお茶が温かくて、すごくほっとしたことだけは覚えてる。

家について携帯を見ると、彼氏から着信の嵐。
留守録には「どうかしてた、許してくれ」
揚げ句の果てには、「せめて友達でいたい」だと。
こんな男と一年も付き合っていたのか、と情けなかった。

その後、激怒した父親が、彼氏実家にナグり込み。
警察を通して話をつけないと気が済まない、という父親。
泣きながら平謝りの彼両親。
彼両親とは私も面識があったから、良識のある優しい人達だということも知っていたし、私も可愛がってもらってた。
彼氏のことは心底許せなかったし、死ねばいいとも思ってたけど、そんなご両親を見るのが忍びなくて、警察はいい、と父親を説得した。
気の済まない父親が彼氏をナグって玄関の床に叩きつけ、一件落着(?)。
額割れてたけど、その程度で済んだことを有り難く思うべき。

以上、たいしたことなくてすみません。
でも、未だに忘れられない修羅場でした。

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