うちの爺さんは、多分アスペルガーだったと思う。
それだけならまだしも、物凄く性格が悪かった。
長男の嫁であった叔母さんは、同居しているうちに発狂したようになり、たまたま私が遊びに行っていたある日、無言で爺に石油をぶっかけた。
火をつけられると悟り、喚き散らす爺。
普段は優しい従姉が
「やっちゃえよ」
と叔母をけしかけ、私は恐怖で声も出なかった。
どうやってその場が収まったのかは、よく覚えていないが、とりあえず火をつけることはなく、爺は長男(叔父叔母)宅を追い出され、うちに転がり込んできた。
今度はウチが地獄と化した。
母親は宗教に入ってしまい、兄は自殺し、両親はいつも「離婚だ」と騒ぐように。
おじいちゃんさえ死んでくれたら、と私は願うようになっていた。
兄の自殺は、爺に大きな原因があった。
受験に失敗して落ち込んでいる兄に、爺はいつも
「NHKのこのアナウンサーを見ろ。この人は東大出だ。それに比べてお前は」
とネチネチいたぶり続けていたので、兄は精神を病んでしまったのだ。
父は次男で冷遇されていたにも関わらず、なぜか爺の面倒をみることに拘っていた。
だが…