どこでもドアが欲しかった

母は私を抱き締め「一緒に死のうか」と囁いた…

time 2016/12/01

母は私を抱き締め「一緒に死のうか」と囁いた…

高校は地元だったけど、母の言う通り、東京に来て働き出会い結婚もした。 
妊娠報告の時母は「おめでとう」と、喜んでくれた。しかし流産してしまった。 
6ヵ月での流産。私はまた死にたいと母に泣きついた。 

母は「分かった。一緒に死のう。子供の死を見るほど私は強くないから」と私を強く抱き締めた。 

私はやはり怖じ気づいて「だめだよ、私はお母さんが好きだもん。お母さんが死ぬのは嫌だよ」と言った。 
母は「そうかそうだね、天国の赤ちゃんもそう思っただろうね」と言った。 

そして父が他界して母と一緒に住むことになってから嬉しいことにまた妊娠をした。 
母と一緒に子供を迎えてあげれることに私は何よりも嬉しく思った。

以上、ここまで私の半生を綴ったものです。 
そして現在、今日はこどもの初めての誕生日だ。 
昨日は母の命日でお墓参りに行ってきた。「元気に育ってます。明日で一才です」と報告してきた。 
お墓を地元ではなく、こっちに建てた事と父と別々にしたことで親族は怒ってしまった。 

唯一、母の妹だけが来てくれた。 
母が危篤状態の時、私は陣痛に耐えていた。 
私は母の墓の前で、死にたい死にたいばかりいって母を困らせたから 
とうとう母の死に目に会えなかったんだよねとつぶやくと 
「お母さんは亡くなる前に、こんな事を言っていたよ 
『凄いんだよ、あの子は一番なんだよ。嬉しかったなぁ~』って。 
何があろうと、子供は親にとって一番大切なんだろうね」そう母の妹は教えてくれた。 

私はその一番て意味じゃないとすぐに分かった。だけど母がこの世で一番好きだから 
生きているうちに喜んでくれる事が出来て良かった。そう思った。 

死ななくて良かった。私の母を知らない子供に私の母がどれだけ素晴らしい人だったか話しながら生きていけるから。 
明日は誕生日。まだ何も欲しがらない子供に、沢山の愛情を与えます。ありがとう。

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