盗子「話は彼男に聞いたわよね?」
私子「彼男、私と付き合ってたし、盗子って他に彼いたよね?」
盗子「もう別れてるから関係ないし。それよりまだ全額使い切ってないでしょ?今はもう私が彼女なんだから私に権利があるの。残りを渡して」
私子「?」
盗子「とぼけないで。宝くじよ」
私子「え?あれはもうすぐに使いきったよ。彼男に聞いたら分かると思うけど」
盗子「聞けるわけないでしょ。あるんでしょ?持ってくるの明日でいいから」
私子「持ってないって。彼男が支払ってくれたりしたから現金は私触ってないもの」
盗子「じゃ、彼男がまだ持ってるのね」
私子「もう無いと思うけど。全部ランチ代になったから」
盗子「下手なウソつくのね」
何がなんだか分からないけど、もう彼男からは別れると言われたし、盗子の方が美人だし気が抜けたようになった。
その後も私の机やロッカーが荒らされたりと踏んだり蹴ったりだった。
同僚たちは
「悪いことが続くね。厄払いしよう」
と飲み会してくれたりしてなんとか気持ちを持ち直した。
それから一カ月後、彼男に復縁を持ちかけられた。
高額宝くじ当選したって聞いたのにそうじゃなかったことを盗子に詰られて振られたそうだ。
彼男から
「盗子に騙された。あいつ信じられない。宝くじのために私子のロッカーとか荒らしたって」
と聞いてそのまま上司に報告した。
盗られたものは彼男と行った初詣で買った金運守りだけだった。
彼男と復縁する気にもなれなかったのでお守りは神社に返した。
彼男は歴代の盗子の餌食に名を連ねることになって、盗子は余罪もあり退職。
他の部署の人と不倫や経費ごま化しがあったという噂。
彼男とは修羅場らなかったけど、盗子に宝くじを問い詰められた時が修羅場だった。
声は荒げないけど目が据わってて心臓バクバクして怖かった。