これは奥さんを元夫から奪って結婚した経緯のある夫婦から産まれた三男から聞いた話。
その家庭の夫婦仲はよく、ダブルベットはあたりまえ、子供たちの前でもキスするような睦ましさだった。
それゆえ彼は結婚って素晴らしいな~とズーット思っていた。
彼が地元の国立大学を卒業後、その地方の経済に多大なる影響力を誇る企業に就職を希望し、試験をある程度クリアした。
しかし、当然喜んでくれると思った両親の反応が鈍く、あまつさえその企業への就活を辞退するように勧められたそうだ。
青天の霹靂だった為、渋る両親を問い詰めたところ
『どうせ最終面接は通らないから・・』
と言われ驚愕して、理由を問うた。
すると渋々、自分たちが以前その企業の社員だったこと、結婚は浮気の末の妊娠、略奪だったことを告白された。
三男は以前から自分の母が再婚だということは知っていたが、その顛末までは知らなかったそうだ。
その元旦那は、現在はその企業の役員に出世していること、30年前のその騒動は社内は無論、取引先の企業へもかなり知れ渡っていることだと知らされた。
彼らの苗字はその地方では珍しく、見逃されることはないだろうとの見解だった。
またそうなれば元旦那の部下が配慮する公算が強い、よしんば就職できても、雰囲気は最悪であることを覚悟しなければならない、ということを聞かされた。
努力家の三男が、自身の力の及ばないところが原因で、出世に響いたら両親としては忍びない。
ゆえにその企業への就職は考え直して欲しい。
両親はそのように三男に話したという。
三男もその企業に就職する為に、学生時代から多大なる努力を傾注していたので、その事情をきいても諦めきれず、悶々とした日々だったそうだ。
しかし人間は経験しないと諦められないものだから、そのまま試験を受け続けることにした。
幸い最終面接までこぎつけ、緊張しながら面接会場に入ってみると、なんとそこに面接官として元旦那がいたそうだ。
そして…