幸い彼女が見たのは、二人で部屋を掃除する姿。
決定的な証拠はない。
浮気相手も俺の嘘に合わせてくれて、数時間後何とか誤解と思わせることに成功した。
浮気相手との関係→同僚(これはほんと)
部屋に一緒に居た理由→嫁への指輪を選んでもらっていた 。
(指輪は手切れ金として浮気相手に渡そうとしたもの)
金がないので部屋でプロポーズをすると言ったら、汚い部屋では成功するものもしないと掃除を手伝ってくれることになった。
(掃除してたのは忘れ物の確認と痕跡の消去)
何とかだまされた彼女はワーワー泣いて、憑き物が落ちたように俺と浮気相手に謝り続けた。
その浮気相手と、その後
「二度と連絡しないで、私は死にたくない」
と電話もらったのが最後。
彼女に嘘を固める証拠として指輪を差し出したとき
「ちょっとサイズが大きいから、今度一緒に治してもらいにいこうね」
っていってたのがグサッと胸に刺さった。
なので、彼女が俺の嫁になった後、由来が由来の指輪はばれない様にすてさせてもらい、新しい、嫁だけの指輪を買った。
それから十年近くたったけど、幸いまだばれず、今ではよき夫よき父で通っている。
ぶっちゃけ家庭って誰が正しいかどうかを追求するより、関係を維持していこうっていう考えと努力のほうがうまくいく気がする。
浮気してもいいとか、嘘をついても隠せばいいってわけじゃないけどね。
あのときの恐怖と、自分が悪いって一念があるから、よき夫を演じさせ続けてくれるように思える。
大概のことに我慢できるし、衝動的な行動をとらせない。