どこでもドアが欲しかった

母が浮気していた。ある日、父がお線香のにおいを漂わせながら帰ってきた…

time 2016/12/03

母が浮気していた。ある日、父がお線香のにおいを漂わせながら帰ってきた…

母は不倫相手の子供を妊娠していた。産むつもりだったらしい。 
しかし、妊娠後期でお腹の子供が亡くなってしまったらしい。 
母はその子供を「出産」(死産)し、その遺体を病院に置いたまま逃げたそうだ。 
不倫したことで母の実家は母を勘当していたし、不倫相手との生活もまだ軌道に乗っていない。
そして父との離婚が成立していないので、亡くなった子供は父との間の子供として死産の届け出をしなければならない。 
そういう状況で混乱したのか、母は病院側からの連絡も一切無視し、子供の遺体は3日ほど病院の冷蔵庫に安置されていたそうだ。

そして、今日病院から「本来頼むべき筋ではないことは分かっていますが…」と、父に連絡が入ったそうだ。 
父も引き取り拒否の場合、警察に連絡が行く予定だったらしい。 
父は警察沙汰にはしたくないと思い、病院に赴き、今回の母のさまざまな状況の説明を受けた後、母と不倫相手の間にできた亡くなった子供の遺体と対面したそうだ。 
その子は男の子だった。父は娘2人には恵まれたので、できれば息子もほしいと言っていた。 
病院に子供と父の親子関係を否定するためのDNA鑑定を依頼してから、子供の遺体を火葬し父の先祖の眠る菩提寺にいったん遺骨を引き取ってもらったそうだ。 
父と亡くなった子供には一切血縁関係はないけど、父はその子があまりにも不憫で、父の実子として死産の届け出をしたそうだ。名前も男の子だったらつけたいと思っていた名前を贈ったらしい。

その話を聞いたとき、私の中で母に対する愛情が冷めたことを感じた。後で聞いたら姉も同じだったそうだ。 
そこから離婚の話し合いとなり、亡くなった子供と父の血縁関係を否定するDAN鑑定書をもとに、財産分与と慰謝料相殺、持家は名義を完全に父に移行する形で離婚が成立した。 
不倫相手に夢中だった母は、私たちの親権は最初から放棄した。 
私たちは面会自体拒否した。養育費は母方の祖父が土下座とともに一括で払ったらしい。

数か月前、私の職場で死産してしまった先輩がいた。 
職場復帰したころは憔悴しきって、そして月命日ごとにお墓参りをしているという先輩を周りはかわいそうだというけど、私はその赤ちゃんに対して、「お母さんに愛されてよかったね」と思ってしまう。

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