俺は正直悔しかった。
もしかしたら、一位かも!っていう手応えもあったから。
でも、まあ本当だったら入賞どころか、みんなが最初サボっててくれたお陰で三位にまでなれたんだし、そう思ったら、充分な結果だよなと諦めて、三位の表彰状を受け取り自分のクラスに戻ったんだけど、そこでみんなが口々に、こう言ってくれた。
「本当は蠍くんが一位だよ絶対!」
「他のクラスの奴らもみんなズルしてたしな!」
つまり、みんな本当に走った周回数より毎日一周づつ水増ししたり、半周走っただけで一周って付けたりと結構いい加減だったらしいw
そして、一位と二位の奴らは隣のクラスだったんだけど、そいつ等のクラスは特にそれが酷かったらしく、俺のクラスの何人かが
「今から抗議しに行こう!」
と言い出しちゃって、クラス中が盛り上がり始めてしまった。
結局そこは俺が
「もういいよ!充分だからホント、ありがとう」
と何とかその場を納めたんだけどね。
そして、騒ぎが納まったあと、よく考えてみればみんな俺が毎日走ってたのを見てくれていたんだなと気が付いた。
そして、毎日一人で走ってた俺の頑張りをを無駄にしないよう、みんな自分のことの様に熱くなってくれたんだなと思うと、やっぱり一位取りたかったなと悔しくて、でもみんなの気持ちが嬉しくてちょっと恥ずかしくて泣いてしまったw
小学校に入学してからそれまで、たった一度も泣いたことが無かった俺を一発で泣かせたクラスメート達の武勇伝でした。