その人は、今風の彫りの深い外国人系の美人タイプじゃなく、和風美人といった感じで、物腰も柔らかく礼儀正しい人でどう見ても兄と釣り合わない人でした。
この時私は一瞬、結婚詐欺?と考えてしまいました。
ごめんなさい。
どうやら私のお見合い催促によって兄も決断し、プロポーズして受け入れられたということでした。
母はこの女性を知っていたようで、もしかしてA子ちゃん?と聞いてました。
名前を聞いて私もわかりましたが、それは地元では誰でも知っている大きな家のお嬢様でした。
そして兄の小学生時代の同級生でした。
私の小学生時代の先輩にも当たり、学内でなんどか見かけたことがありました。
(どこかで見た感じはしていました)
こういう人たちってエスカレーター式の学校に幼稚舎から入るイメージでしたが、A子さんの家は子供の教育に独自の考え方を持っていて、小学生までは一般の公立学校に通わせていたようです。
市井に揉まれて学ぶ、という感じでしょうか(実際に現在の兄嫁さんは小学校の教育問題の研究に関わるお仕事とか)
その後中学校からは私立学校に通い、地元の公立中学校に進んだ私(と兄)とは会うこともなかったのですが、兄とは文通を続けていたそうです。
先日酔っぱらった勢いで兄嫁に、なんで兄?と聞いてみましたところ、恥ずかしそうに語ってくれました。
以下聞いた話ですが、私の意訳を含みます。
小学生時代、兄嫁さんはその容姿と物腰から男子には一歩引かれる感じでした。
女子には仲の良い子もいましたが、逆に目の敵にするような人もいて、それが小学5年生のときにピークとなり、細かないじめが始まりました。
内容は今聞けば些細なものですが、多感な女子小学生にはキツかったんだと思います。
その頃は何週かに渡って、クラスメートの顔を描こう、という授業があり、ランダムに二人組になってお互いの似顔絵を描いてもらい、順次掲示していく授業でした。
子供の絵なんて多少どこかしらが歪んでいたりするものですが、それを悪用して兄嫁が描かれた似顔絵にいたずら描きをする人が現れました。
ほっぺがふっくらしている→より膨らませて瘤取りじいさん風にする。
切れ長の目→赤い涙を描きこんで流血風に。
鼻→当然鼻水。
といった感じ。
これを3週くらいに渡って計3枚すべての絵へのいたずらが続けられ、気丈な兄嫁もさすがに泣きそうになっていたようです。
当時の担任は事なかれ主義()なため、真剣に取り合ってくれず、犯人が分かっているにもかかわらず厚顔無恥を相手にしては泣き寝入りしかありませんでした。
ですが4週目の最終日、兄嫁の似顔絵を描いたのは兄でした。
兄のイラスト風似顔絵は先生は気に入らなかったようですが、クラスでは大絶賛で、さすがのいじめっ子でも良いものはわかるのか兄の描いた似顔絵だけには手を出さなかったようです。
それからはいじめも止み、兄嫁が兄にお礼を言ったところ、きれいなものは描く方も気持ちいい(意訳)というようなことを言われ、兄嫁は兄が好きになったようです。
そこからひそかに文通が始まり、10年以上それが続いて、ようやくプロポーズとなったようです。
ちなみに、そのときの兄の描いた似顔絵は、兄嫁の実家に額に入れて飾られているそうですwww