二人のとこに行って、
「俺の分の遺産は、お前らに全部くれてやる。何もいらん。その代わり、兄弟でつまらん喧嘩なんぞするのはやめろ」
って言って、ホントに相続放棄の書面を書いて帰って来たらしい。
兄弟にここまでされたら骨肉の争いも止まざるをえなかったようで、その後は爺さんの実家も平和になったらしい。
俺が生まれた後でも語り草になっていた、そんな武勇伝。
ちなみに大金を兄弟の和のためにあっさり捨てた金銭欲の無い爺さんだが、別にそれが元で貧乏になったということはなかった。
家には、爺さんが自分の仕事の業績で貰った、藍綬褒章やら瑞宝章やらの勲章が、今でもうちの応接間に飾ってある。