どこでもドアが欲しかった

婚約同前の彼の祖父の介護に携わった。しかし、祖父が亡くなると…

time 2016/12/08

婚約同前の彼の祖父の介護に携わった。しかし、祖父が亡くなると…

電話で一方的に言われ、納得がいかなくて彼の家に行くと、いつも通り優しく迎え入れてくれる彼母と彼祖母。
事情を話すと二人とも目が点。

帰ってきた彼に彼母が問いつめると、
彼が一瞬鬱陶しそうに私を見たあと彼母彼祖母に私と結婚する気のない理由を色々話していた。
彼が話している最中に彼母がハッと何かに気づいた顔をして、
「スマホを出しなさい」と彼に詰めよった。
彼が抵抗している最中に彼父帰宅。
彼父にも事情を話すと、彼が観念して本当の理由をはなしはじめた。

「紹介したい人がいる」
彼祖父の介護中に新しい彼女ができてたが、
一回り近く年下の彼女に介護なんてさせられない。
だから新しい彼女と相談して介護終了するまで黙っておくことにした。
「もうこいつも三十路過ぎだしさ、ばーちゃんもひ孫の顔見たいでしょ?」
その言葉に彼祖母彼両親が激昂して彼を血祭りに。
「なんて不義理なことを!」と怒り狂う彼祖母が怖かった。
彼は結局、着の身着のままで追い出された。

彼祖母が「貴女(私)と彼祖父に申し訳ない」と泣いていて、私も一緒に泣いた。

彼両親からすすめられ婚約破棄の慰謝料を請求することに。
写真などから婚約していたと認められたらしい。
新しい彼女はとても若くて綺麗な子で、彼は終始彼女を優しい目で見ていた。
私は敵みたいな扱いだった。
「慰謝料って悪いことした人が支払うんですよね?彼は私を悪いと思う?私達別れたほうがいい?」
と彼女が悲しげに言って、彼が彼女の分も支払うことに。
大人しそうに見えた彼女だったけど、
帰り際に「しつこいおばさん、性格悪いよ」と小声で罵られた。

再就職がなかなか決まらず、
痛めた腰が辛い中でパートを掛け持ちしながら過ごしていたら、はがきがきた。
私が昔撮ったときと同じ白無垢姿の彼女と幸せそうな彼と可愛い赤ちゃんの写真つきで。
「彼両親は孫に夢中です」
の文章とともに彼両親が満面の笑みで赤ちゃんを抱きしめている写真もあった。
そして、「貴女も早く幸せになってください」と書かれていた。

私が彼女みたいに若くて綺麗だったらこの写真に入れたのかなとか、
それじゃ介護に関われなかったかなとか思ったり、
彼に告白された日のことや、
彼が私に告白することを彼祖父にだけこっそり教えていた話、
彼祖父母の馴れ初め話などを思い出す。

私も彼の子供を産みたかったな。

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