「ババア!てめぇ、何、他人のものを持ってってんだよ」
と男性が怒鳴りながらカウンターに走って来た。
それに「黙りなさい!」と一喝すると
「分かりました。それで結構です」と女性。
「役に立たない本やCDに現を抜かしてないで仕事見つけなさい」と男性に言う。
恐る恐る
「それでこちらは買い取り不能でして」
とできないものを見せると
「じゃあ処分で」とあっさり。
豪華版モーニング娘。初代メンバーの写真集もその中にはあった。
「ファンにはたまらないよね」
と店奥で同僚が言っていたが、男性も(以下、会話の内容から息子とします)ファンだったようだ。
「ふざけんなよ!処分って何だよ!」
そう言ってそれを引ったくろうとする手を女性がばしんと叩いた。
「生きていくのに何の価値もないでしょ。そんなに嫌なら今すぐこれ全部を買ったお金を渡しなさい。全部自分じゃ買ってないのに甘えたことを言うんじゃない」
女性の息子への言葉と私への言葉のあまりの温度の違いが。
「ぶっ●すぞ!」
と息子が言えば
「そんな勇気もないくせに、何を偉そうに」
と笑ってもいた。
宥める訳にもいかず、親子ゲンカにおろおろしていると
「あの~」と別の男性が話し掛けて来た。
「それ(写真集)いらないなら僕が200円で買います」
それに女性は
「200円なんてもったいない。持って行って下さい」
「それじゃあ悪いですよ」
「ゴミに価値なんてありません。どうぞ」
その言葉に息子はがなっていたが、完全無視で写真集は男性の手に。
最後まで「200円払う」と言っていたのを固辞していた。
そしてお金を受け取ると女性は息子に
「お店の迷惑になるからさっさと出る。そのままどこへなりと消えなさい」
そう言うとさっさと店を出て行った。
その後を顔面蒼白で追う息子…。
店長や他の店員はもしもに備えていたが、息子はがなるだけでこっちに手出しは一切なし。
しかし最後、笑みを浮かべての息子への言葉に後から来たお客がぽつりと
「よほど我慢してたんだな・・」
と呟いていた 。