通っていた高校は野球がそこそこ強くて、毎年甲子園出場を掛けた県大会では決勝か準決勝までは行っていたので、今年こそ甲子園という意識が強かった。
他に取り柄の無い私立校ということもあり、校長を始めとして、看板となりうる野球部を超優遇。
表沙汰にはできないが、県大会が近くなると野球部は全員授業免除で朝から夜まで練習。
試験は受けなくても全員及第。
野球部の連中も勘違いした天狗野郎が多くて、
「野球部に非ずんば人に非ず」みたいな振る舞いまでしてた。
校内ではやりたい放題。
気分ひとつで他の生徒を殴ったりもしていたが、学校は全部隠していた。
生徒が先生に訴えても
「今年こそ甲子園に行けそうだというのに、何を考えているんだ!」
と怒られる始末。
ちなみに昭和の話。
俺が高二の夏、中学リーグ(リトルリーグだっけ?)の強豪投手が入って来たというので、甲子園が現実味を帯びてきた。
対抗試合も連戦連勝。
野球部はますます天狗になった。
そんなある日、野球部の中でも一番天狗になってたAが、練習のない日に俺の彼女を言葉巧みに呼び出して乱暴しやがった。
先に帰宅したと思っていたが、イヤな予感がして学校に戻ると、俺を見るなり他の野球部の奴が目を逸らしたので
「○○子しらんか?」
と聞いたらあからさまに動揺してた。
問い質すと、その野球部の奴と部室に居るとのこと。
部室に行くと前で一年生達が見張りをしていて
「今は入れないから帰ってくれ」と言う。
俺が「○○子!中にいるか」と叫んだら
中から「○○君!来ないで!」と泣き叫ぶ声が聞こえた。
一年生達を振り払って(図体はでかかったので力はあった)部室に飛び込むと目に入ったのがAの下半身と裸の○○子。
悲鳴を上げて泣き叫ぶ声に、近くにいた教師達も集まり、さすがに
「なにやってんだおまえら!」
と怒鳴っていた。
何故か俺も組み伏せられた。
事情を聴かれて俺は助けに行ったことが分かってそのまま帰宅させられた。
彼女を待っていたいと言っても教師達は「帰れ」の一点張り。
彼女が心配だったが、その日は帰宅した。
翌日から彼女はずっと休み、俺は職員室に呼び出されて、
「彼女のために」一切の事実を口外するなと言われた。
強姦野郎のAはいつも通りに練習をする日々。
Aへの接近も禁じられた。
グランドに行こうとすると教師に止められた。
彼女の家に電話しても取り次いでもらえず、家まで行くと自宅前で見張っていた教師に阻止された。
そのうちに彼女は自●してしまったが、病死として片付けられた。
そこで…