「母と父も最初はきちんとした式場で結婚式を挙げるはずだった。
それなのに父親族が『しきたりだから』と式場を無理やりキャンセルし
飛行機の距離のど田舎の父実家で宴会をやっただけで終わってしまった。
一応白無垢は着せてもらえたが髪結いも化粧も素人の父方伯母(父姉)がやって到底見れたものじゃなかったし
父方は遠縁まで親族全員、どころか隣近所まで呼ばれたのに
『嫁入りする立場だから』と自分の親族は母方祖父しか呼んでもらえなかった。
しきたりと言うならば息子夫婦も同じようにするべき!」
初耳の兄、下兄、私は目が点。父は黙って俯いてるだけ。
そのうち母が
「どうしても式場で挙げるなら、一緒に私と父の結婚式もやり直したい!そうでなければ認めない!」
と言い出した。新郎新婦の隣で新郎父と新郎母も一緒に三々九度やってるとか聞いたことない、
馬鹿なこと言うもんじゃない!と家族全員で説得するも泣きに泣いて
「どうして私は我慢したのに息子夫婦はちゃんとした結婚式ができるの!」
と父に食って掛かり、父は答えられずに黙りこくる。
下兄の「そんなに結婚式したいなら今から父さんと母さんだけでやればいいじゃん、兄ちゃん巻き込むな」
という発言には父が激しく反対した。
もう60も過ぎて今更婚礼衣装など着れるかバカバカしい、やり直す必要なんぞない、と。
それを聞いて母がさらに発狂。『やり直す』のはあんただけだ!私にとっては初めての結婚式だ!
あんなのが結婚式だったなんて絶対認めない!と。父はだんまり。
母としては「1組も2組も変わらないじゃない!夢と諦めていた花嫁衣装を着るチャンス!」と思ったらしく
どんなに兄弟全員が非常識と言っても聞かない。
揉めるだけ揉めて解決策が見つからないままお開きとなってしまった。
母はその後も毎日のように式場にキャンセルの電話
(式場の人が全部「新郎様に確認の上手配致します」でスルーしてくれたらしい)、
かと思えば花嫁衣装の写真とか雑誌の切り抜きをどっからか持ってきて
「こういう柄じゃ若すぎるかしら?こっちの色の方が映えるかしら?」
と式に花嫁として出るつもり満々で衣装選び。父は相変わらず沈黙。
「2人だけで式しなよ。せめて写真だけでも撮りなよ」などの説得には
母→なんで息子のとは別に私たちだけで式なの 父→バカ言うな、恥ずかしい、必要ない
結局、そんな母から逃げる形で式場をキャンセルした兄夫婦は二人だけで海外で挙式。
後日親戚とのお食事会、友人や会社関係者とのお披露目会を終えてすぐに義姉実家近くへ引っ越してしまった。
母はお食事会の時に涙ながらに「本当は私も一緒に式を挙げるはずだったのに」と訴えて
新婦方のみならず自分の親族にもドン引きされ
今でも月に数回は海外の教会で撮影された兄夫婦の写真を見ながら
「私も花嫁衣装着たかったのに」と恨みがましく言い、未だ独身の私と下兄が帰省するたび
「あんたたちの結婚式では私にも花嫁衣装を着せなさい。絶対」と言ってくる。
私も下兄も彼氏彼女の影も形もないけど、億が一結婚できるとしたら兄と同じように海外に逃げるしかないと思っている。
はっきり言って父が一番悪いと思ってるけど、母も十分過ぎるほどキチ。