その893、俺の顔見た途端直立不動になって
「お久しぶりです!」
て大きく頭下げた。
そいつ俺の後輩だった。
俺はそいつのこと知らなかったけど、母校のヤンキーにとって柔道部員は絶対に手を出しちゃいけない存在だったから向こうはよく覚えてたらしい。
ふたつ上の副主将は
「柔道部なんてハダカで挑めば楽勝www」
て喧嘩売ってきた同級の族の幹部をパンチだけでボコボコにしてたからね。
そもそも体つきからして違うし。
そんなわけで893は俺にヘコヘコ。
別に喧嘩したいわけじゃないからそいつは脇に置いといて、改めて加害者家族と交渉することに。
加害者家族、さっきまでドヤ顔だったのが完全に茫然だったよ。
そりゃそうだ。最強の切り札がまさかの完全無効だったんだから。
「どーでもいいからお前らの脅迫スルーしてたけど、893まで連れて来るなら出るとこ出るか?それともこの場で死ぬ?」
てちょっと脅したら、もう真っ青に。
結局、弟の自転車代と治療費その他、あとはうちへ色々やってくれた慰謝料をきっちり払うって約束させて解散。
用意できなかったのか用意しなかったのか示談金までは出してこなかったから、被害届は取り下げず、加害者は執行猶予とはいえきっちり前科者になりました。
加害者とも家族とも後輩893ともそれっきりで、話はそれで終了。
今日弟の息子が自転車乗ってて車にはねられて、ふと思い出したから書いてみた。
ちなみに甥は無傷でその後の交渉も滞りなく。