4年くらい付き合った彼女がいた。
お互いの実家の付き合いもあって、結婚話もでていたんだ。
彼女はちょっとミーハーなところはあるが、お金にも堅実でしっかり者だと思っていた。
その日、彼女の実家で晩御飯を食べて、ゆっくりしていると、急に彼女が俺と距離を置きたいと泣きながら言い出した。
色々話してみたら、ナンパされた男に目移りしたらしい。
俺と彼女の親父さんとどんな男だと問い詰めたら、テレビでCMしている有名会社の男だって。
彼女 「別に会社名で彼に惹かれたんじゃなくて、性格と人間性に惹かれた」
親父 「わずか2ヶ月の付き合いでその男の何が分かるんだ、俺との事はどう考えている。そこの社員だって証拠はあるのか、そこに勤めている派遣社員かもしれないだろ」
彼女 「ちゃんと名刺も貰ったし、社員証も保険証も見た。たとえ派遣社員でも、人間としての彼が好きになった。好きになるのに、付き合った期間は関係ない」
彼女は4年間の付き合いよりも、その男の派手な会社名で引かれているのは確かだった。
二人の4年間は、そんな薄い4年間だったのかと思うと空しくなった。
そんな事を泣きながら言う彼女の事が、別の生き物のように思えてきた。
親父 「俺の会社も企業間取引だけの会社だが、派手さはないが1万人以上の従業員のいる立派な会社だ。わずか創業して20年くらいの会社よりも信用できる」
BtoBが主体の会社って、基本広告費にお金掛けないから地味なんだ。
泣きながら、新しい男の素晴らしさを説明して、俺に謝罪している彼女の姿を見て、心が離れた相手に何を言っても無駄なので、別れることにした。
俺の会社から彼女の実家は、徒歩圏にあったので、彼女がいない時でも親父さんと酒を飲んで野球観戦して、ご飯をご馳走になって帰る事が日課になっていた。
彼女のご両親に、今までお世話になった事のお礼を言って別れた。
その後…