俺には遅くしてできた一人娘がいるんだが、赤子の頃に母乳を一切飲めなかったからか、はたまたミルクが飲めなくて二ヶ月成長がとまったからか、とても体の小さい病弱な子だった。
お金もなくて小さい頃に治療させてやれなかったせいで、大人になった今とても苦労をしている。
そんな娘が立派に成人式迎えた年、俺の務める会社が結構な黒字をだした。
そのため、感謝祭を開くことになった。
感謝祭は家族を呼んで、会社の土地使ってお祭りみたいな事をする。
娘は成人したし興味無いかと思っとんだが、お父さんの職場見てみたいって言ってくれ、祭りに来てくれた。
その時に、うちの社長と仲の良い取引先の社長とその跡継ぎのぼっちゃんに鉢合わせして、挨拶した。
俺の娘は病弱なせいか、いっつも中学生に間違えられるくらい小柄で、それがコンプレックスだった。
でも、ぼっちゃんはうちの娘をたいそう気に入ってくれたらしい。
周りからは、お前んところの娘は子ども産めるんかとか馬鹿にされとったんだが、なんとうちの会社の社長通じて、見合いを申し込まれた。
ぼっちゃんの年齢を聞くと30過ぎとったし、断る気満々だったのが、周りの圧力もあってぼっちゃんと娘をあわせることになった。
相手方の社長はええ人なんだが、ぼっちゃん、一人息子で甘やかされたのか、娘に対して背は小さいのにとか、失礼な冗談を言い出して、俺はもう握りしめた手が震えとった。
でも、
「俺と付き合えば平社員のお父さんの仕事も口聞きますよ」
なんて言われて、立つ瀬がない。
たしかに俺は平社員。
でも、前の職場で忙しすぎて娘の入園式にも出られなかったのを悔やんで、今の職場で平社員をしているのだが…。
この時はとにかく悔しかった。
すると…