新郎従妹で出席した結婚式。
新郎はいわば本家跡取りで、実家は田舎だけど土地持ちのいわば地元の名家。
いい大学出て新郎両親の自慢の息子だったんだが、就職した東京で係累のいない彼女連れ帰ってきて一族発狂。
大騒ぎしたあげく、駆け落ちしそうになって新郎両親が渋々許可
→新郎母が決めた式場で結婚式をあげ、結婚後は実家に戻って同居となった。
私含むイトコ世代は
「あーあ、嫁いびりされるぞこりゃ」
とうんざりしてた。
披露宴がはじまると、新婦側の出席者は新婦の勤め先の上司夫婦と同僚代表のおばさんが一人、あとは新婦友人の女性が一人だけ。
新婦は幼い頃に両親が事故で他界したそうで、親戚をたらい回しされて育ったそうだ。
今どきあるんだね、太変だねと言っていたが、実際に家に迎える新郎両親は
「どんな育ちだかわかったもんじゃない!」
とはなっから身構えてた。
あと、交通費もかかる地方での式だからしょうがないかもしれないが、これだけ少ない招待客って新婦に何か問題でも??という空気は少なからずあった。
ぴりぴりムードのまま式がはじまり、新郎側招待客の長いスピーチが続いたあとで新婦上司がスピーチ。
穏やかで心のこもった挨拶で、新婦の人となりや仕事ぶりを褒め、信頼する部下が仕事を辞めるのは残念だが…と、心の底から新婦の幸せを祈っているのがわかるスピーチだった。
その後、新婦友人(以後A)がスピーチの壇上にあがった。
新婦友人は、小学校の4年の夏から5年の秋まで同級生だっただけの人で、新婦が別の親戚の家に行くのに引っ越したあとは、ときどき文通してたんだって。
で、結婚が決まってはじめて手紙に彼氏がいたことを書いて結婚式に出てくれないかと言われ、仕事で海外にいたのを急遽帰国してきてくれたのだそうだ。
一緒に過ごした短い間の思い出とか、文通してたときの思い出とかを話したあとで急に黙りこんだ。
で、無言で壇上を降りて、つかつかつかと新郎両親の前まで行っていきなり土下座。
みんなびっくりしてどよめいた。
Aは華やかな振り袖着てたんだけど、おでこを床にくっつけるみたいにして土下座したまま、
「お願いします!新婦子をよろしくお願いします!お願いします!お願いします!」
て叫びだした。
何があったというんだ…