始発&終点(上り電車がこの駅で下り電車になる)になっている駅のホームで一列に並んで電車を待っていると、
列に並ばず微妙な位置に立っているおばさんがいた。
「これは電車が着いたら割り込もうって魂胆だな」と思い、警戒していた。
他の人達も異様に密着して並んでいたから、同じく割り込みを警戒してたんだと思う。
そうこうするうちに電車が到着。
扉が開くと同時に一斉に降りる乗客。
ダダッと扉に駆け寄るおばさんに背中をグイグイ押されたのでスッと道をあけると、降りる乗客を掻き分けて誰よりも早く座席に座った。
その後…
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乗客の波が改札口に消えると、電車の中にはおばさんが一人ポツン。
私達は相変わらずホームで一列に並んだまま動かない。
異変に気付いたおばさんがキョロキョロし始めた時、発車のベルが鳴って扉が閉まった。
座席から慌てて立ち上がり、両手で扉をドンドンするおばさんを乗せて、その『回送電車』は車庫に帰って行った。
普段は発車する前に車掌が車内を点検するんだけど、なぜかこの時はホームにアナウンスが流れただけだった。
乗客が降りてから回送電車が発車するまでの1~2分。
列に並んだ全員が暗黙のうちに一致団結。
誰一人それが回送電車であることを教えようとせず、ただおばさんを見守っていたあの時間は新鮮だった。