それよりも俺が大変だった。
変わりすぎて、名前言っても信じて貰えなかった。
やたら同級生に囲まれて名刺もぎ取られた。
あまり枚数ないのに。
苛めっこ、ようやく発見。
痩せ細って、病人みたいになってた。
「久しぶりだなおい!なんだ、どうした?病気か!?」
本気で心配になって聞いた。
「ああ、M(俺)か?苛めて悪かったな。ごめんな。ほんとごめんな」
主犯格で性格悪かったのに、何があってここまで人が変わるのか。
聞いてみたら、集団就職で首都圏行ったはいいが人付き合いがうまくいかず、戻ってきて派遣でなんとか食い繋いでいたそうだ。
「お前のとこで雇えないか?」
雇えないこともないけどそんな余裕は無かった。
ただ、俺のところじゃ無理だから口利きはしてみる、と電話番号だけ伝えてきた。
電話するようになって、ようやくTが話したのは、言葉訛りのせいで首都圏で苛められたことだった。
「本当に俺のやってきたこと実感させられたわ。M、許してくれとは言わない。ただ謝りたかった」
もういいよ、って笑った。
それからTは友人組に加わった。
すっかり人が変わったTは、俺の口利き無く、大手自動車メーカーの工場で勤務。
先月、12月に結婚(初婚)します葉書が届いた。
久しぶりに白いスーツ出して、もう成人した長女長男、嫁と行く。
スーッとはしないし、武勇伝でも何でもないけど、苛め駄目絶対。