昔うちは両親と兄、姉、私の五人家族で、そのうち姉は養子。
こんなこと言うと非難されるかもしれないが、母親主導でその分ちょっと待遇に差がついてた。
産みの親は母の妹。
シングルの叔母が若くして亡くなり、当時8歳の姉が家に引き取られたんだけど、母の親戚筋なのに母が冷たく、これが実子と養子の差か?と居た堪れなく育った。
ある時、ホールケーキが食卓に出たんだけど、姉だけそのホールから切り取られたものじゃなくてじゃなくて、別の一応豪華なショートケーキ。
流石に目に余って、兄がショートケーキがおいしそうだから姉が良ければ交換したいって申し出たんだけど、姉はうつむいて何も言わない。
私も母にこれはちょっと酷いって責めるように言ってしまったら、普段は姉に優しいが特別母から庇うようなこともしない父が、母を庇ったのだ。
父が言うには…
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姉は、父と叔母との不幸な過ちで生まれた子供だから母さんもうまく接することができない。
いっぱいいっぱいなんだよ。
責めないでくれ。
同じように母も傷ついてるって庇う庇うw
つまり姉、父の実子だったのね。
言い方は悪いけど分かりやすく言えば不倫の末の隠し子。
今から思えば元凶のお前が何言ってんだって話だけど、それにキレたのは母だった。
「折角私が限界ギリギリで頑張ってきたのにどうしてぶち壊すようなことを言うのか」
って近くの物を手当たり次第に投げながら泣き叫び続けてもう大変だった。
そのあと父を家から追い出して、台所で一人わんわん泣いてる母を遠巻きに見てたら姉が一人果敢にも近づいて、
ごめんね、いないほうがよかったよね、ごめんねってこっちも泣きながら何度も謝ってた。
意外にも母が
「あなたは悪くない、大人が悪いの。うまくできなくてごめんね」
って慰め出して、恨み一辺倒じゃないんだと複雑な母親の心境を知った。
どんだけ子供にばれないように抱えてたんだろうって思ったら申し訳なかったわ。
母と父はそれからすぐ離婚した。
姉の親権も母が手放さなかった。
姉もそれを希望した。
あれ以来母と姉のわだかまりは少しづつだけど解消されて、父というストレス源がなくなったせいかもうおかしな態度をとることはなかった。
兄も姉もバイト三昧だったり(自分は家事担当)奨学金のために人よりずっと切実に勉強したりで貧乏で大変だったけど、裕福な(それほどでもないけどw)息のつまる生活よりはずっと幸せだったわ。