「これからお母さんと東京に逃げる」
って言って、制服に登山用のリュックを背負ってた。
「お母さんとの約束で、連絡先は◯ちゃん(私)にも教えられない。大好きだったよ、お姉ちゃん。」
って言って、校門でぎゅっと抱きしめられた。
小学校くらいまではA子は私をお姉ちゃんって呼んでた。
それから、A子からは連絡もなかったし、私もA子の話はしなかった。
A父はいまだ家の前に住んでる。
今でもA子の名前で時々ぐぐってしまう。
写真は別に取ってて、たまに引っ張りだして見ては泣いてしまう。
どの瞬間が修羅場だったとは言えないけど、A子にまつわる一連が私にはすごく修羅場だった。
あの時、校門でじっと待ってたA子の姿は一生忘れられないし、私が死ぬときも思い出すような気がしてる。