動きの止まった女をほっといて母を探した。
母は仏間に布団をひいて寝ていた。痩せて、オムツをしていた。家が臭いのはこのせいだった。
俺の顔を見ると「夢か」と言って泣き出した。
訳がわからないので「警察を呼ぶ!」とスマホを出した。
背後から女が飛びかかってきてスマホを掴み
「話せばわかるから!」と言うようなことを叫んだ。
意味がわからないし気味が悪いので、女をビンタして、サッシを開けて外へ放り出した。
母に「どういうことだ。警察を呼んでいいか」と聞いた。
母は「警察はやめて。口をきくのもしんどい。お父さんが帰ってくるまで寝かせて」と言い目をつぶった。
しかたないので2時間ほど母のそばで待った。
父が帰ってきた。父は追い出したデブ女を背後に連れていた。
「なんなんだその女は」と聞くと
「実は…」と父親はモゴモゴした。ウザイ顔だった。
モゴモゴし続けるので怒鳴りつけて吐かせた。
デブは親父の不倫相手だった。
母が足を骨折して家のことができなくなったので、デブを家に連れ込んで家事と母の世話をやらせていたらしい。
定年退職済みの親父は、デブに家のことをやらせてその間パチンコ。
母は最初のうちは抵抗したが、メシ抜きにされたり、つねられたり、トイレも連れていかせずオムツで放置されたりで段々気力をなくして無抵抗に寝てるだけになっていたという。
「めっかっちゃった☆」みたいな顔でニヤニヤモゴモゴしている親父を突き飛ばしデブとともに追い出した。
鍵を持ってるだろうが、俺がいる間は入ってこなかった。
その間に母を抱えてトイレに行かせ(足が細くなって立てなくなっていた)、着替えさせてタクシーで駅まで行き、新幹線の切符を買って連れ帰った。
母はそのまま入院。
母方の親戚に連絡をとっていきさつを説明したが、なかなか信じてもらえず参った。
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