俺の祖母(90歳)
家事完璧、裁縫や料理はもはやプロ級
自室にはいつも生花が活けてある
外出しないときでもばっちり化粧してきれいな服着てる
言葉遣いもきれいで、短歌と読書と映画鑑賞が趣味
バラエティーやゴシップが嫌いで、テレビや雑誌はほぼ全く見ない
酒もタバコもやらないけど、毎朝ミキサーで作った人参ジュースは欠かさない健康体
好きなタイプはグレゴリー・ペックとショーン・コネリー
そんな若干浮世離れしたばあちゃんが数年前、急性胃腸炎で入院した
1週間程で退院ということだったのだが、3日目におれに電話が
暇だから編み物がしたい、私の部屋から裁縫箱を持ってきて中がぐちゃぐちゃになるから、上下逆さまにしないでね
ということだった
問題はこの”裁縫箱”。
俺が生まれた頃から祖母の自室に鎮座する代物なのだが……
若干メルヘンチックな祖母の部屋に似合わない、ジェラルミンケース
けっこうな大きさで、深さもそこそこ
そして鍵付き
小さいころ、なんで鍵付きなん?と聞くと祖母は針やハサミが入っていて危ないからなんて言ってた。
まあ実際は通帳や印鑑、貴金属等の貴重品を保管しているのだろうな、
と思いつつ、その箱を持ち上げた瞬間、ものすごい違和感が
重い!!
しかもなんかタプンタプンしてる!!!
見たい!!
中を見たい!!!
どうせ鍵かかってるだろうし、開けるポーズくらい構わないよな。
とサイテーな好奇心で金具を外すと、意外にもあっけなく開いた。
いつも自室に安置しているだけなので、祖母も気を抜いていたのかもしれない。
ばあちゃんごめん!と思いつつ、中を覗くと……