「転勤が無いという事=私の父のキャリアが本社から始まってそのまま変わっていない」という例外に気付かなかったのが、Aママの頭の残念なところ。
話を聞き終えて、父がとった行動は二つ。
一つは、小学生の従妹に理解できるように言葉を尽くしながら、自分の立場を説明した事。
もう一つは、会社でAパパに対して、
「お前、女房の躾が悪いな。」
と言った事。
実は父の職位は上席部長。
職位で言えば、課長よりは3ランクは上であり、その企業には表ではあまり知られていない部署があるのだが、父はその部署のトップ。
日本で知らない人がいないレベルの企業を数社担当していた。
父に転勤が無かったのは、そういう特別な部署にずっと所属していたからであって、無能どころか父が居なければその部署はやっていけない。
そういう事なので、役員の方々も父には一目置いていた。
Aパパは、そんな人から突然に自分の妻の事で咎められて混乱した。
父がそれ以上の言葉を続けなかったので、慌てて妻子から事情を聞きだし、おそらく真っ青になっただろう。
父は、本社の工場のキャパが足りない場合に、父の部署で契約している工場を使って一部を引き受けたりする事も少なくないので、それを恩に感じている人は多かった。
その中にはAの現在の上司もいれば、かつて助けられた元の部課長、現在では役員クラスもいる。
下手をすれば、社内の怒りが一斉に自分に向かう事に、Aパパは気付いたのである。
Aパパは、妻子が二度とこのような事を起こさないように、徹底的に締め上げたそうな。
後にAパパから私の父に対して謝罪があり、Aママは二度と私の母に近寄らず、従妹が事情を知っている為に、友人内でのAの自慢と見下しは一切無くなった。
という事で、めでたしめでたし。
以上父の武勇伝?です。