「ああ、きっとパンのことよ。夫は今夜、寝る前にトーストを食べたいんだと思うわ。
しかも市販のパンじゃなく私が作ったパンのことじゃないかしら。
寝る前に間に合うようにパンを作ってトーストにして、
トーストと言ってもバターじゃなくマーガリンで。
そしてそれを寝る前にコーヒーと一緒に食べられるように
今のうちから用意しとけって言いたかったんだと思うわ!」
と、いっぱい説明してくれた。
いつもの決まった合図なんですか?と聞いたら
「いいえ。ぱ!は初めてかな。でもきっとそうよ!」
と言ってたので、夫から旦那さんに確認してもらったら
「そのとおりだよ。むしろ他に何がある?」と返されたそうだ。
その後また旦那さんが奥さんに「はまっ!」と言ってた。
それも奥さんに聞くと
「昨日釣ってきたハマチを三枚に下ろして半身は刺身、半身は天ぷらにしろってことよ。
天ぷらにしたハマチは天つゆじゃなくタレを作って絡ませておけって指示したのよ。」
これも正解だった!
何年も一緒にいると、
ここまで相手の言いたいことが読めるようになるのかと
感心して帰ってきたが
後日、ご夫婦の結婚記念日に旦那さんが珍しくちゃんとした言葉で
「愛してるよ、これからもよろしく」と言ったら
「はぁ?!」と返されたそうで、暗号みたいな言葉は理解できても
夫の愛情は理解できないんだそうな。
ただし、実はこの話から数ヵ月後、離婚したんだよ。
離婚というか、旦那はその理由が分からないらしくて
まだ判は押してないらしい。