「ホテルに行ってみたい、何もしなくていいから」
「それは無理」「お願い!10分で帰ってもいいから!」
と押し問答をして、結局枝子にぐいぐい腕を引っ張られ
気付いたらホテル街にいた
慣れた感じでホテルに入り、部屋を選び進んでいく枝子。
俺は死んだ魚の目でついていった。
部屋に入ると
「素敵ー!初めて来たー!!」と興奮する枝子。
約束通り10分経ったので帰ろうと言うと
枝子はコーヒーを入れて一緒に飲みたいと言う
コーヒー飲んだら帰るからなと約束したのに
俺は枝子に押し倒された。
実は彼氏いない歴=年齢で、経験もない
経験させてほしいと懇願する枝子
さすがに俺も無理なので
「お願いします」「無理です」「お願い」「無理」と
2時間近く押し問答を繰り返した
俺はまだ20代なのに
「本当に好きになった人の為にとっておきなさい」とか
ジジイみたいに説教したんだけど
「一生彼氏ができる予感がしない」
「このままで死んでいく私を憐れんで…」と騒がれ折れた
少しでも明かりがあって枝子の顔が見えると無理なので
恥ずかしがる枝子に気遣うように電気は全部消して
更に目をつぶって他の女を想像してなんとか終わらせた
終わってから枝子が
「腕枕してほしい」と言ったが断った
朝まで一緒に過ごすつもりもなかったので
「仕事がある」と言って金を置いて帰った
その後枝子から何度かメールが来たが全部無視した
バレンタインに「チョコをもらって下さい」と言われたが
「彼女ができたので、もう会うことはない」と突っぱねた。
そんな枝子のことなんか忘れて2月が去り3月が去り新年度になった
新入社員は本社で入社式に出て、
その後10日ほどオリエンテーションに参加して
その後全国の支社に配属される
それが昨日だったのだが、俺の支社に来た新人があの枝子だった
みんなの前で「運命の再会ですね!」と騒がれ
動揺して上手く言い訳ができなかった俺に対し
枝子は「以前お付き合いしてました」とのたまったらしい
もう人生詰んだわ。
俺ブス専じゃねーし。