そこに、件の常連のおじいさんが本を手にレジに来た。
途端にあたふたする母親。
常連さんは静かにレジの光景を見ると、泣きじゃくる子供の手を取り
「じいじのお家に帰ろう」
そう言うと、反論しようとした母親を今まで見たことのない形相で睨み付け、言った。
「もうこの子は家で引き取る。文句は言わせない!」
そう言って、私たちに
「ご迷惑をおかけしました」
と頭を下げると、子供とともに去って行った。
その後、別の常連さんの情報で分かったんだけど、その常連さんは常々、嫁の孫への虐待を疑っていて、何かあったらすぐにでも引き取るつもりでいたようだ。
プレゼントは別にそのためと言う訳ではなかったが、目の前で頭を叩かれ泣く孫の姿に計画を実行したらしい。
(ご近所故に分かる情報なんだけど)
今は毎日のようにおじいちゃんと二人で手をつないでお店に来るその子を見ていると、本当に幸せそうでよかった、と思う。
にしても母親に対した時のあのおじいちゃんは怖かった。
まさに大魔神のようだったよ。