俺とA子は会社の先輩後輩。
新入社員研修の引率が俺(と人事課長)だったことがきっかけで知り合った。
今では思い出すのも胸糞悪いが、当時のA子は可愛く明るく仕事にも積極的な女で
俺はA子とつきあえたことで有頂天になっていた。
A子には俺の知らない秘密があった。
彼女は携帯からアクセスできる某ネットサイトの常連だった。
恋人探しが目的ではなく、円光をやって小遣いを稼いでいた。
動機は、高い服や化粧品が欲しかったから。
後に7人まで確認したが、実際にはもっと多くの男に身体を売っていたと思われる。
俺とつきあいはじめて、お互いが本気の交際になるまでそれは続いていた。
俺が気づかないまま、俺とA子は婚約した(略式ながら両家立会いで結納金と指輪渡した)。
その時点で定期的に複数回会っていた男は4名。
俺と交際する段階で、順次関係を解消していき、それで円光のことは無かったこととして
葬るつもりだったようだ。
しかしA子の円光常連の中に、A子を諦めなかった男が1名いた。
A子は関係解消の際に、馬鹿正直に「婚約したから」といったらしい。
さらに馬鹿なことに長く関係するうちに本名と勤務先を喋っていたそうだ。
円光男は「俺男に黙っていて欲しければ関係を続けろ」と迫った。
しかしこの円光男も、うっかりA子に自分の名刺を渡してそれを忘れていたほど馬鹿だった。
A子は「脅迫」されつつ1回ごとに金はもらったそうだ。
こっそりとやられたら正直、俺は気がつかないままでいたと思う。
一緒に過ごしている時にしつこくメールの着信音がなって、A子はそれを開こうともしない。
「いいの?」と聞くと、携帯持ってトイレに行くふりをする。
さすがに気づいた。
というより、もっと早くから怪しんでいたのに俺も世間体や未練やらで先送りにしていただけだった。
携帯を奪って問い詰め、ロックを解かせて円光男とのメールのやりとりを確保。
どこで知り合ったか聞いたらネットサイトだというので、ログインしてみたら
過去の男とのやりとりが大量に出てきたので、勝手に退会しないように携帯を押収。
「今日午後からホ別3」とか「口ありで?」とかのメール見てたら吐き気してきた。
おかげでネットのシステムだけには詳しくなった。
一生近寄らないだけの嫌悪感も刷り込まれたが。
A子は「ネットはもうやめた。昔の話だ」と主張していた。
「昔の遊びのことで婚約解消はひどい。心が狭い」ともいった。
円光男とは続いていると問い詰めたら「脅迫されてしかたなく」と泣いた。
脅迫も事実だったらしいが、メールには嬉しそうな文面も多数保存。
脅迫されてるはずのA子から誘ったのまであった。
「この人です」と円光男の名刺出してきたときにはなんでそんなもんがあるのか驚いたが。
「円光で稼いでりゃいいだろ。なんで俺と結婚しようとか考えるかな?」
というと…