嫁が育児ノイローゼ一歩手前のころの話。
昨夜も夜泣きで寝付かない息子に
「もぉおおおぉおおお!寝てよぉぉぉっぉうぉぅぉぉ・・!」
と半狂乱になり枕を叩いて狂っていた嫁。
仕事を終えて帰宅し玄関を開けるが廊下奥のリビングは真っ暗。
物音ひとつ聞こえてこない。
ただいま、といいても返事なし。
只事でない雰囲気を感じて家に上がると、リビングのドアがゆっくり開いて、
暗闇の中から嫁が涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔面をヌーっと現れたんだ。
ハァァァァ・・ともヒィィ・・とも聞こえるかすれた声を出しながら。
俺は思った。
「こいつ、とうとう殺りよったか・・・」
テレビや新聞の「乳児虐待死」の文字が浮かぶ。
恐る恐る嫁に近づいて息子の所在を訊ねようとしたら…