「過激ダイエットなのかと思った」
「あんたほんとにヤバイよ」
と言われ、先輩に焼肉をおごってもらえた。
はじめての焼肉屋だった。
ていうか、誰かにおごってもらうのが初めてだった。
味は全然わからなくて、食べると唇に脂がつくのでしょっちゅう拭いてた記憶しかない。
なんでか食べてるうちに泣けてきて、
「泣いたことないんですがねー」
とごまかしたら、先輩が
「ネットで『搾取子』ってぐぐってみな」
と、ご丁寧に『搾取子』と書いたメモをくれた。
ぐぐったら自分のような人たちがたくさん出てきて、なんだ、みんな逃げてるのに、逃げようと考えもしなかった自分バカみたい!と思った。
その瞬間に、大げさな言い方だけど、母と兄がどうでもよくなった。
母と兄につながってると思っていた何かがなくなった気がした。
それまで母と兄はかわいそうな人だから、自分がカバーしなくちゃならないと思っていた。
でもよく考えたら兄はかわいそうどころか、甘やかされまくっていた。
兄のためにずっと我慢させられてきた人生だった…
私は仕事でヘマをして減給になったことにして、今実家に2万しか仕送りしていない。
来年度は転職してさらに給与が下がったと言ってゼロにする予定。
母からの電話も「忙しい」と言って出てない。
母からのラインは「お金送って」ばっかり。
兄は来年はファッション系の専門学校に行きたいそうだ。へー。
好きにすれば。関係ないし。
どうでもいい。