どこでもドアが欲しかった

認知症の義父が車イスの義母を押していた → 思わず叫ぶと、義父が手を放してしまい車イスが坂道を下り国道へ → 結果…

time 2016/11/28

認知症の義父が車イスの義母を押していた → 思わず叫ぶと、義父が手を放してしまい車イスが坂道を下り国道へ → 結果…

義母:頭はしっかりしてるけど車椅子
義父:超健康ムキムキ体、だけど認知症

このふたりを同居介護していた。
最初は義母が車椅子になって、それだけの時はそれほど大変でもなかったけど、その事件が起こる1年ぐらい前から義父がおかしくなって、それからが地獄だった。
2人とも養老院の申し込みはしてあって、どちらかひとりだけでも早く順番こないかなと毎日毎日お祈りしていた。

でもそんな状態でも義母は要介護2で、義父は要介護1と認定され、しかも小梨専業主婦が家にいるのではなかなか入所は難しいようだった。
(ていうか、そんなん2人いたら専業になるしかないじゃないか)

我が家は戸建だけど、家の前が坂道になっている。
閑静な住宅街だけど、家の前から一直線の先には国道。
女房大好きな義父は何かと義母の世話を焼きたがるが、歩けないから車椅子だってことが理解できないのか、やたら立たせようと腕を引っ張ったり車椅子をゆすったり、外に連れて出したがったりして危ないのでとにかく目を離せない。
夫も部署異動を願い出て、なるべく早く帰れるようにして貰い、帰りに翌日分の買い物をしてきてもらったりと、どうにかこうにかやってた。

でも平日は最低でも9時間はひとりで二人を見なきゃいけない。
義母の方はトイレのお世話ぐらいだったけど、義父から目を離せないのがしんどかった。

そんなある日、お腹の調子が悪くて、義父のことが気になりながらもようやくトイレから出ると2人ともいなくて、心臓がドックンドックン。
窓の外に義母を連れて出ようとする義父の姿が見えた。
思わず「何やってんのっっ!!」って叫んでしまった。
今思えば私の修行不足というか、こういう時に叫んだのは不味かった。
静かに素早く後を追うべきだった。
でも私はそこまで賢くもなかったし、介護者として有能でもなかった。
ビックリした義父は車椅子から手を放してしまった。
大慌てで全力で義母の車椅子を追った。
国道に向かって加速する車椅子、義母の悲鳴、固まるご近所さん。
それらがスローモーションのように見えた。
必死だった。
あとちょっとで手が届くと言う所で、身体の加速に足が追い付いていけなかった私は、前のめりに飛ぶように転び、それでも必死で手を伸ばしたらタイヤを掴めた(と思った)。

私の記憶はそこまで…

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