「そうか、君は分子と原子がごっちゃになっていたんだね。あのね、この部分はこうで、こっちはこうなんだよ」
と優しく言ってくれた。
ゆっくりと夫と話をしていくと、本当にその通りだった。
私は分子と原子をごちゃ混ぜにして覚えていた。
学生時代はそれを指摘してくれる人は誰もいなかった。
「覚えていないお前が悪い、怠けているお前が悪い」
そんな事ばかり言われ続けた。
だから今でも数学や理科の計算の話題が出ると情緒不安定になって涙が出てくる。
あの時、夫みたいに私が勘違いしている部分や引っ掛かっている部分に気付いてくれる人が
たった一人でもいたら、今みたいに数学関係の公式を見るだけで吐き気がする事はなかったのに……
自分が凄く些細な事で躓いていた事を知った時と、みんなから怠け者扱いされていた時が心の修羅場。