どこでもドアが欲しかった

祖母が亡くなり書斎の整理をしていると、老紳士が訪ねてきた→老紳士「この本(魚の図鑑)を譲ってほしい」と札束を差し出す→後日、事情を聞くと…

time 2016/11/30

祖母が亡くなり書斎の整理をしていると、老紳士が訪ねてきた→老紳士「この本(魚の図鑑)を譲ってほしい」と札束を差し出す→後日、事情を聞くと…

祖母はおじいちゃんの命の恩人。 
学生時代、電車に轢かれそうになったところを引っ張ってもらって九死に一生を得たとのこと。 
その時に、祖母に一目惚れしたけど告白する勇気もなくて、読書好きだと言うことを聞いてプレゼントしたのが魚の図鑑だった。 

そんで何で大金で買い取ろうとしたのか聞くと、おじいちゃんは本のハードカバーの表紙をナイフで割った。中には手紙が入っていた。 
おじいちゃんはハードカバーの表紙の中を薄く切り抜いて中にラブレターを閉まっていたのだった。 

大金は祖母に命の救ってもらった恩返しで、本を返して欲しかったのは万が一ラブレターを他の人に見つけられたら恥ずかしいからとのことだった。 

なんで本の中に隠したのかと聞くと、おじいちゃんは照れ臭そうに自分でもわかりませんと言った。 

んで、そのラブレター、おじいちゃんの制止を振り切って読んでみたんだが。 
もうあらゆる比喩を使って祖母を褒めちぎる言葉で埋め尽くされていて、祖母への思慕の情が手紙に敷きつめれていた。こっちがクラクラしそうになるようなラブレターで読んだことを後悔した。 

結局、金は貰わないで本だけ返した。叔母は通報した。

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