どこでもドアが欲しかった

のらりくらりと結婚話を引き延ばす彼。ある日、彼について衝撃の事実が…

time 2016/11/30

のらりくらりと結婚話を引き延ばす彼。ある日、彼について衝撃の事実が…

顔面パンチを食らいました。 
映画みたいに首がグルって曲がって、後ろの壁に激突しました。 
そこからもう殴られ放題の私。腕を上げて目を守るのが精いっぱいで、他の部分はガコガコ殴られた。 
不思議なことに耳を殴られるのが一番痛かったです。キュウウーーーッって耐えられない痛みがする。

私は無意識に、殴られながら「助けてー助けてー」と 
言っていたらしく、誰かから通報があったようで、助かりました。 
がんばって目を守ったおかげで眼球は無傷(ここに傷ついたらもう仕事できない)、 
でも頬骨や鼻骨は折れていました。顎はひびだけで無事でした。

皮肉にも、そんな事態になって初めて、両者の親+私たちの会談がかないました。 
A男の言うとおり、彼父はとてもまともな、中小企業の社長さんらしい 
ちょっと押し出しは強いけどいかにもいい人っぽいおじさんでした。 
彼母はずっと泣いてたけど、彼男をかばうことはせず「罪は償わせます」と言っていたから 
まともな人だったと思います。

うちの両親はもちろん激怒していました。 
彼両親はその前でペコペコ。 
彼男だけがふんぞりかえって、彼母に 
「頭なんて下げることないよ!」 
「俺は、母さんにだけは苦労かけたりしないから」 
「こんなやつ(私のこと)とは最初から結婚する気なかったんだから、親が出てくることじゃないよ」 
とか言ってました。

彼が言うには、最初は私と結婚して、彼母・彼弟・彼男と私で新居を作り 
幸福に暮らす予定だったそうです。 
でも彼男がどうしても許せないことが起こったんだそうです。

それは私祖母が老人ホームに入ったことです。 
私祖母は要介護度が上がり、伯母伯父の負担があまりに高くなったので 
老人ホームに入ったのですが、それが彼男には許せなかったそうです。

いざとなったら、彼母のことも老人ホーム送りにするだろう鬼のような女だと思ったそうです。 
祖母はずっと他県の長男の伯父一家と暮らしていて、ホームに入ることも伯父一家の 
やむにやまれぬ事情です。 
別に私が決めたわけじゃないし、みんなだってつらい苦渋の決断をした末のことなのに 
何言ってんだこいつ、と初めてマトモな怒りが湧きました。

私はもうむちゃくちゃ感情的になっていたので 
うちの祖母と会ったこともなければ、世話したこともないくせに 
介護がどんなに大変かも知らないくせに、姥捨て山とか簡単に言うな、 
だいたいなんでそんなに母親が大事なら、いざとなったら自分で介護しようと思わないんだ、と 
泣きながら彼をののしりました。

彼が言うには、 
「そういったこと全部を見越して、母の介護をするに見合うランクの女を選んだ。 
なのに介護放棄する(祖母をホームに入れたこと)ような女だとわかったので萎えた。 
母をまかせられない女と結婚するわけにはいかないし、悩んでいた。 
暴力をふるってしまったのは確かに自分の落ち度だが、精神的には自分も被害者だ。 
ここは痛み分けということで、告訴を取り下げてもらわないとおかしい」 
と言われました。

この言い分に私は激怒し、私母も怒り、彼母も怒ったので三人が退席させられました。 
別室で彼母は私たちにずっと謝ってたけど、よく覚えてません。 
彼母は悪くないのかもしれないけど、でも彼母にも腹が立ってしょうがなくて 
まともに話をしたくありませんでした。

最終的にお互い弁護士を立て、向こうがうちに払う慰謝料を決めてから 
刑事告訴は取り消し、いろいろと条件 
(もう私には近づかないこと、間違った嘘の噂をたてないことなどの確約)を書面で立てて 
決着になりました。 
私母と私は彼に前科を付けてやりたかったんですが 
弁護士から「ああいう人は追いつめると何をするかわからない」 
「身の安全第一です」 
と言われ、諦めました。

でもその後、彼は最愛の母親に 
「もう二度とうちに来てくれるな」 
「私たちの子供はこの子(歳の離れた弟)だけ。おまえのことはもう死んだと思う」 
と言われたあげく、行き先も告げずに引っ越され 
連絡も絶たれたので、 
おそらく刑事罰よりもっときつい最大の罰を受けたと思います。

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