俺は昔気質の漫画おたくで漫画本を集めるのが趣味だった。
大して価値のあるものはないけれどそれでもそれなりの希少本や、貸本時代だったりの漫画を集めてそれを眺めて悦に入ってたんだ。
今はそれほど買ったりはしないけれど大切にしていた。
実家から離れて仕事してて年に数回帰るんだけど、実家に帰った時俺の部屋で見知らぬ子供が遊んでた。
部屋の中はしっちゃかめっちゃかで漫画本も散乱してたし、なによりショックだったのは漫画に色鉛筆で塗り絵してやがった。
ブチ切れて子供を部屋から出して両親に問いただすと、ウチの母親も悪いんだがうちには漫画がいっぱいあって…みたいなことを井戸端会議で話したら、近所のお母さんが働いてる間子供を遊ばせてほしいと言われ、子供好きな母親がOKしたらしく俺の部屋が子供の遊び場になってたんだ。
いい大人が情けないけど、母に対してキレそうになったんだ。
でも我慢してもうやめさせてくれ!って言うにとどめたら、両親から
「いい大人なんだから漫画なんかいいじゃないの」
みたいに言われてさ。
もう一人部屋で無残になった漫画を見ながら泣いたさ。
どうしても我慢できなくてその子供の家に行って、もう来ないでくれ、と、あのマンが結構高いんだよ、弁償してくれよ!って
情けないけど言いに行ったよ。
でもその母親もさ、たかが漫画で…みたいに言うんだよ。
アッタマ来てね、あれは一冊いくらくらいするんだぞ、払えるのか!
って喚いてたら、泣きたくなってきて自分が情けなくなったから、もう二度と来ないでくれ、って言って家に帰ったんだよ。
二重に情けないけど泣き寝入りすることにしたんだよ。
自分の部屋に閉じこもって酒飲みながら、無残になったカッパ版の鉄腕アトムやら貸本時代の水木しげるの本を見て泣いた。
切れたり折られたりジュースのシミやら悲しくて仕方なかった。
一生懸命バイトや仕事で稼いで結構高い金出して買った美本がこの有様かって泣くしかなかった。
で意気消沈したまま休みが終わって職場に戻ったんよ。
で、こないだまた実家戻ったら…