どこでもドアが欲しかった

20代半ばで病気に。将来を考えていた彼の母「体の弱い人は嫁に来てもらっても困る」しかしその後…

time 2016/12/02

20代半ばで病気に。将来を考えていた彼の母「体の弱い人は嫁に来てもらっても困る」しかしその後…

実家が会社を経営している婚約者がいた。
別々の大学に通っていたけどコンパで知り合った。

「いずれ家を継ぐから、将来のことを考えてほしい」
と言われて、私もその気でいた。

卒業後、彼は実家に就職し、彼母と姉が事務をしていたので、私は別の中小企業に就職した。
そこで経理を習い、会社の勧めで簿記の資格も取った。
今勉強しておけば、彼の支えになると思った。

しかし20代半ばを過ぎたとき、病気にかかった。
とにかく吐き気がひどく、なにも食べられない。
みるみるやせ細り、入退院を繰り返した。

悲しむ親を見るのもつらかった。会社も退職した。
でもその時は
「早く良くならなきゃ」
「良くなって彼と結婚しよう」
と思っていた。


何度目かの入院をしたとき彼の母が訪れた。
「悪いけど、体の弱い人は嫁に来てもらっても困る」
というようなことをオブラートに包んで長々と言われた。
彼と話して「あなたも同じ考えなのか」と聞くと
「俺は社長として何十年と会社を支えていかなきゃ行けない。支えてくれる人じゃないと…」

ショックだったが、彼らの言い分も理解できた。
勤めていた中小企業も同じような形態で、社長も夫人も毎日走り回っていた。
高級車に乗っているし、年に二回海外旅行にいくし、そこだけ見ると羨ましかったけど、それ以外の時間は家でも会社でも仕事仕事。
たしかに病弱ではこれはできない、こんな体では…と泣く泣く彼と別れた。
本当はもう少し待ってほしかったが、彼は「ごめん」と言って去って行った。

数年たって…

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